Rebellion装備設定(プレサバ前日譚)
「上官には何を答えても罰する事はないと聞いているから、何でも話すよ。何でも聞いてくれて構わない。もっとも、組織について多くの事は知らないし、下調べをしているあんたの方が詳しいくらいさ。」
初めての反政府組織への取材で緊張している私にそう声を掛けたのは、反政府組織Rebellionの補給班隊員チヒロ・イシモトである。
ガスマスクとゴーグルで覆われた顔からは表情を推し量ることは出来ないが、彼のマスク越しに聞こえるくぐもった声はケラケラと笑っているようであった。
彼はポケットからタバコを取り出すとおもむろに火を付けた。
「タバコ吸われるんですか?」
20XX年、ゾンビクライシスが始まって以降、嗜好品であったタバコは供給量が減り、その取引価格は大きくはねあがった。
健康志向が常識となっていた21世紀初頭において、緊急時のタバコの値上げには誰も抗議することなく賛同の声が多く上がったそうだ。
(ただし愛煙家達は泣きをみたというが。)
クライシスが始まって以降生まれた私の様な世代には縁遠い品物だ。
「あぁ、すまない、嫌いだったかい?いつもガスマスクしてるから気にならなくてね。少し我慢してくれ。
」
彼はそういうと私にここで待つようにと手で合図をし、薄暗い廊下を中腰でゆっくりと進んでいく。
私達は今、何年も前に閉鎖された病院にいる。
事前に受けた説明だとギャング化した感染者達が拠点にしていた時期があるそうだが、ZSRTによって駆除されたらしい。
今日の任務はそのギャングが集めていた物資の回収だ。
5分程待つとイシモト氏が戻って来た。安全確認をしてきた様だ。
「タバコは高級品ですよね。何に使ったんですか。」
帰って来た彼の手には短くなったタバコが握られていた。
「あぁ、これ。ここはもともとギャングが使ってたでしょ。変なトラップがあるかもと思って探してたんだ。あれだよ、赤外線センサー。タバコの煙で見えるらしいんだ。俺は吸わないからこういう事に使う。」
彼も実際にはまだ見たことが無いらしいが、彼は父親からその事を学び、父親は戦前のビデオゲームでそれを学んだと言っていた。
「Rebellion本隊なら赤外線センサーぐらい見えるカメラやゴーグルってのがあるんだと思うんだけどね。僕らは支部隊だし、なんなら補給班で物資の回収係だから。」
彼は身振り手振りを交えてそう説明すると、残念そうに肩を落とした。
「まぁ、嘘か本当かわからないことでも、あるものでやっていかないと気を抜くとやられるんだ。」
(21.10.20✕✕ --------記 取材備忘録)